2012年12月4日火曜日

電子書籍は主役になるのか

 かつてiTunesがCDマーケットを脅かしたように、電子書籍も紙媒体を脅かす存在になるのであろうか?
 普及すると主張するならば、その理由を見つけることはいとも簡単だ。

 1にあげられるのが、インフラの充実。タブレットにスマホ、電子書籍を受け入れるデバイスはこと欠かない。しかも、今現在もその普及速度は衰えることを知らない。その上、重量や体積のかさむ本を持ち歩く必要もなく、しかも、欲した時に瞬時に、所望するタイトルを手に入れることが出来るのだ。

 2に、コストとスピード。出稿から出版に至るまでにかかる費用と時間は、紙媒体に比して劇的に減らすことが可能である。加えて、メンテナンス(改定等)も極めて容易に行うことが可能なのだ。具体的には、修正した電子データをアップロードするだけである。(輪転機を回して製本し、運送屋が配送して回るなどと言う気の遠くなるようなプロセスとは無縁なのだ)

 以上だけを考えれば、普及には何も問題ないように思える。しかし、ことはそう単純ではないようだ。実際、電子書籍が注目されて数年経つが、決して順調に市場を伸ばしているとは言い難い。では、その阻害要因とは何なのだろうか?

 先ず考えられるのが、とっつきにくさ、業界的に言えば、マン・マシン・インタフェースである。電子ペーパーにしろ透過型液晶にしろ、紙とは質感が異なるし、それは見え方でもるし、手触りやパージ捲りの体感であったりもする。これはよくとりあげられる問題点であるが、実は小生はこの指摘には批判的である。要は慣れの世界なのだ。もっと言えば、電子書籍に慣れてしまえば、ちっちゃな字を拡大もできない紙媒体の方が、遥かに不快に感じられるのである。

 次に考えられるのが、コンテンツの質である。出版コストの低い電子書籍の場合、出版のハードルが極めて低い。ほとんど費用がかからないといっても過言ではない。つまり、誰でも出版が可能でだということだ。ここが実は非常に重要で(だと小生は思っている)、コンテンツの良否の判断が極めて困難なのである。出版のハードルの高い従来の紙媒体であれば、版元による厳正な審査の元、選ばれしコンテンツのみが流通に回る。つまり、我々は安心して書店に並ぶ本を買うことが出来るのである。しかし、電子書籍の場合は、これが成り立たない。では、これが致命的な欠点となって、電子書籍はとん挫してしまうのか?

 私が足りない知恵を絞って得た解は、電子書籍の普及のカギを握るのは、『公平な評価』だということだ。誰もの信用に値する公平な評価こそが、購入者の信頼を勝ち得、そしてそれが実現すればその利便性もあいまって、電子書籍は華々しい未来を迎えるに違いない。

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