2013年8月9日金曜日

メガネ型ガジェットに思うこと

 お酒の話はいったん中断して、今日はハイテク機器に関する妄想のお話。

 これから一気にブレークしそうなウェアラブル・コンピューティング。スマートグラス(メガネ)にスマートウォッチ(腕時計)。中でもグーグルグラスに代表されるメガネ型ガジェットは何かと話題も多い。実際私もこの製品は、将来、私たちの生活や社会の仕組みまでをも変えうる衝撃的なデバイスだと思う。

 その将来像を、妄想家の私が独断と偏見で想像してみた。

 まずは来年の新聞記事の妄想から。

『2014年04月 東京都の渋谷駅で都内に住む男性会社員(42歳)が都の迷惑条例違反で逮捕された。メガネ型電子機器で階段の下から女性のスカートの中を盗撮した疑い。自宅のパソコンを調べたところ、盗撮したとみられる多数の動画が見つかり――』

『2014年06月 電子万引きが横行! ――コンビニや書店どころか、映画館やコンサートでの盗撮までもが相次ぎ、それをネットで実況する者まで現れている。これを受けて、警察庁は――』

『2014年08月 犯人逮捕に一役! 路上で女性のハンドバッグをひったくりした男が、たまたま近くを歩いていた男性の電子メガネに捉えられてご用――』

『2014年09月 コラム ―自衛としての電子メガネの効用― 電子メガをかけた人は犯罪の被害に遭いにくい――こんな興味深いデータが――』

『2014年10月 相次ぎ発生する問題に頭を悩ませる各国政府は、ついに登録制度の導入を検討し始めた。これは電子メガネを巡って急増する犯罪への対処として、購入する際に個人情報の登録を義務づけようとするもので――』

 反対派の争点は、当然プライバシーの侵害に向けられるものと予想される。従来の覗きや盗撮と少し違うのは、目で見た映像をネットで飛ばし、リアルタイムで拡散できること。ネットを介して、多数の人間と視覚体験を共有できるというわけだ。そしてそれを完全に防ぐ方法は限りなくゼロに等しい。それを考えると、このデバイスが社会に受け入れられるとは到底思えない。
 しかし、私はきっと普及すると思う。爆発的にヒットして、皆の生活習慣までをもすっかり変えてしまうのではないかと妄想するのだ。その理由は、”治安という名を借りた管理”である。

 不特定多数の人間に見られているかもしれない状況で、はたして人は犯罪を犯すであろうか? ほとんどの場合はノーだと思う。実際店舗や街のあちこちに据えられた監視カメラは、すでに、少なからずその犯罪抑止効果を発揮している。メガネ型ガジェットが普及すれば、監視カメラと同じように、それが常に人を見張ることになるのだ。なんとも息苦しい社会である。しかしそれを好む人間がいるのも事実。治世者たちである。権力の維持に邪魔な分子をいち早く見つけるのに、これほど効果的なツールはないだろう。もしそれを否定すれば、彼らは大儀をかざすに違いない。犯罪やテロをこのまま放っておいて良いのか、と。

 以上は、全て私の妄想に過ぎない。しかし昨今のきな臭いニュース、例えば米国でのNSAによる通信傍受の件や、中国の某社のPCへのハッキング工作の疑惑等々を考えると、あながちただの妄想にも思えなくなってしまうのだ。

http://mainichi.jp/select/news/20130712k0000e030198000c.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013073102000223.html

 もちろん私はそうならないことを願っている。

 追記)メガネ型ガジェットを題材にした拙著『除妖師』も、よろしければぜひ一読を――

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