2013年9月4日水曜日

ネットでの拡散と故障モード

 ここのところ、竜巻の話題が後を絶たない。なんともおそろしい話である。誰にも予想できない上に、しかも巨大な積乱雲(入道雲)が広がってから僅か25分後に発生するというではないか。もう、ガクブルの世界なのである。
 そんなニュースを見ながら、妄想家の僕は、あるそら恐ろしい空想に、老いた身体を打ち振るわせた。

 もし竜巻が原子力発電所を襲ったら――

 もちろん、その確率がゼロに近いことなど百も承知だ。でも心配性の僕には、それが気になってしょうがない。そんなことをうつらうつら考えながら、僕はあることに着目した。それが今日の標題の、「故障モード」である。

 電子回路に携わったことのある方ならばご存じのように、かつてタンタルコンデンサーというやつが大問題になったことがある。何が問題かというと、その「故障モード」なのである。どんなに丈夫な物でも、ある条件下では必ず壊れる。だから、いつ壊れてもいいように準備する。ところがこのタンタルコンデンサーというやつはとてもやっかいで、壊れるとショート(短絡)してしまうのだ。

 自分が死んだら、後は知りません、とケツをまくってしまうのである

 しかも悪いことに容量の大きいこのコンデンサーは、電源周りで重宝される。大変なことである。過大な電流が流れた回路は発熱し、火を噴き、場合によっては火災につながる。

 とここで、話を原子力発電に戻そう。僕が思うに、原子力発電というのは、故障モードが「ショート」のシステムのような気がする。制御を失うと停止してしまう『核融合』とは対照的に、有事があって制御を失えば、止まるのではなくて、暴走するのだ。

 止められなくなったら、もう誰にも止められない

 と、おやじギャグにもならないギャグを言ってみました。申し訳ございません……

 前置きはこのくらいにして、本題に入りたい。僕は思うのだ。もしかすると、ネットの世界というのも、故障モードが「ショート」な世界なのではないのかと。(おい、大丈夫か、自分……)
 
 ネットに放たれた情報は、その持ち主の推進力を失ってもなお、拡散を続ける。まるで、際限なく引き起こる核分裂のように。いったんこの連鎖反応が始まると、もう手の付けようがない。

 じゃあ、そうならないように気をつけりゃいいじゃん

 そのとおりである。しかし、そうもいかないことも考えられるのだ。それは、先に言った原子力発電所に対するテロ行為にも似た、恣意的な「故障」である。

 この世には、残念ながら悪い人も存在する。気に入らない奴を陥れようという人たちもいる。そういう人たちにとってこの故障モード「ショート」な世界は、うってつけなのかもしれない。なにしろ、発信したデマが、労することなく勝手に広まって行くのだから。

 もう、何を信じて何を疑えばいいのか、まるでわからなくなってしまうのだ

 でも少なくとも、利己主義で偉そうな人間が、これで得をする社会にだけはなって欲しくない。(なんとなくそうなりつつある気がして怖いのだけれど)
 できることなら、その「故障モード」が、これまで虐げられてきた善良な人たちを守る、有用な武器になって欲しい。そう願う、今日この頃なのである。

 今日もまた、結論はない。というか、僕の足りない脳細胞ではこれ以上考えることは不可能なのだ。

 そんなバカな僕ではあるけど、最後にこれだけは言わせていただきたい。

 でも少しくらいは僕の本の話題も、「ショート」になって拡散して欲しい……

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