2015年1月29日木曜日

新作「ジミー・ザ・アンドロイド」に込めた思い

 授業にもほとんど顔を出さず、酒を飲むか、映画を観るか、格闘技に汗を流すか、鵠沼海岸で波乗りに興じるか、あるいはバイトに精を出すか、そんな学生時代を過ごしました。
 
 そんな僕が、大学を卒業してエレクトロニクスを生業とする商社に入社して最初に出会ったのがマイクロコンピュータでした。たしかインテル社のマイクロプロセッサ、80286だったと思います。このチップの日本語のマニュアルを日本で最初に書き、そしてシステムも組み上げました。
 それからもコンピュータ・テクノロジーは進化の速度を緩めることなく、CISCからRISCへと変わり、そのRISCも単純なスーパーパイプラインからより複雑なスーパースカラへと変わり、半導体の微細化と共に、その性能は指数関数的に進歩を遂げてきました。
 あるときは上位記述言語というものを使って、コンピュータそのものも設計したこともあります。

 しかしずっと僕の心にある疑問がこびりついて離れませんでした。それは――どれほど性能が向上しようとも、基本的な原理は実はあまり変わっていないのです。でも、きっとこのままでは終わらない――

 だから、「ジミー・ザ・アンドロイド」を書きました。

追記)
 いつものように個人作家であられる月狂四郎さんに身に余る書評を頂きました。こんなに早く読んでいただけただけでも感動もので、一人泣いてしまいました。本当にありがとうございます。
ペンと拳で闘う男の世迷言


【あらすじ】
 あるときコンピュータ工学の天才が、一つの命を生み出しました。彼はその命にジミーと命名しました。
 ジミーは、もちろん人間ではありません。でもコンピュータに宿るその魂は、誰よりも崇高で、誰よりも人間を愛していました。
 ところが崇高なる魂の誕生と同時に、邪悪なる魂も生まれました。そしてその邪悪なる魂は、いよいよ人類を滅亡の危機へと陥れます。
 人間の社会が行き詰まり、人々の心がすっかり荒んだそう遠くはない未来、世界は音を立てて変わり始めます。

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 はたしてコンピュータに魂は宿るのだろうか?
 誰もが抱くであろうその疑問――
 コンピュータサイエンスの世界に四半世紀もの間その身を投じた著者も、まったく同じ疑問を持ち続け、そして答えを出せないままに今日に至りました。
 少なくともこれまでは、そんなコンピュータは存在しませんでした。しかし未来もそうなのでしょうか?
 そしてもし、魂の宿ったコンピュータが出現したとしたら、世界はどう変わるのでしょうか。

 もし、から始まった小さな興味が物語を紡ぎ、そしてそれが勝手に走り始めます―
 妄想と言ってしまえばそれまでですが、でもそれをたんなる荒唐無稽な戯れ言と切って捨てるには、あまりにも世界は謎に包まれ、そして果てしない可能性に満ち溢れているのではないでしょうか。

 著者とご一緒に、夢の世界を堪能いただければ幸甚です。

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ジミー・ザ・アンドロイド
 完全書き下ろし未発表作品
 文庫本換算:約350ページ


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